地球環境を物理的に見ると,エネルギーの注入→散逸という流れの存在する非平衡開放系であると言える.対流現象は非平衡開放系の最も基礎的な研究対象であり,カオスや散逸構造といった物理概念の発展にも貢献してきた.対流には,下から熱した流体に生じる熱対流以外に,液晶に電場を印加することによって生じる電気対流がある.液晶は配向という付加的な自由度をもった流体であり,系の対称性を制御できることなど,散逸構造の研究対象として多くの利点をもつ.われわれは液晶電気対流を対象として,どのような場合にどのような散逸構造が現れるか,それはどのようにして不安定化するか,不安定化するとどのような揺らぎが生じるかについて実験的研究を行い,非平衡開放系に現れる現象の多様性と,その物理的性質の背景にある普遍原理を探っている.

★参考資料
学部生,新M1向き(1997年執筆)
ゴールドストーン・モードの存在する対流系における時空カオス[
pdf](1999年執筆)
液晶におけるパターン形成[
pdf](2005年執筆)

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